交通事故に関する基礎知識や事例

交通事故被害に遭われた方の損害賠償請求の主要な方法としては、

 ① 任意保険会社への損害賠償請求(示談交渉)
 ② 自賠責保険への被害者請求手続
 ③ 訴え(民事訴訟)提起

があります。
上記の各方法には、それぞれ特徴があり、長所もあれば短所もあります。
それぞれの個別具体的な事案に応じて、柔軟に使い分けることにより、被害回復を図っていくのがよいと思います。以下個別に説明します。

■交通事故の損害賠償

1 任意保険会社への損害賠償請求(示談交渉)

交通事故に遭われた場合の損害賠償請求というと、一般にはこの(事故の相手方の契約する)任意保険会社との示談交渉をイメージされる方が多いと思います。
任意保険契約の一環として、保険会社の示談代行サービスがあるため、交通事故に遭った場合、まず相手方の任意保険会社と折衝することになるのが一般です。

しかし、事故後まだ精神的動揺もある中で、早期に相手方保険会社との示談に応じることは、必ずしも得策とはいえません。特に事故で人身傷害を受けられた場合には、まずは医療機関で治療に専念して頂くことが肝要です。そして、その治療が一段落した段階で、事故の過失割合や損害額について弁護士に一度相談されることをお薦めします。その上で、示談に応じる・応じないをもう一度よく検討されるとよいでしょう。

任意保険会社との示談成立による解決は、一般に民事訴訟よりは早い解決となりますが、任意保険会社は裁判水準よりも低額の示談金額を提示することが多いため、時間をかけてでも適正な損害賠償額を取得したい方には、民事訴訟をお薦めしています。

また、相手方保険会社との示談交渉自体を、弁護士に依頼するのが得策です。それにより、示談金額の上積みが図りやすくなるだけでなく、精神的な負担も軽減し、事故前の日常生活を取り戻しやすくなります。

2 自賠責保険への被害者請求手続

相手方保険会社との示談協議ではまとまらない場合に、相手方の加入する自賠責保険に対して、「被害者請求」という手続を行うのも有用です。
この手続は、自動車損害賠償保障法に基づくもので、自動車運転者は自賠責保険への加入が義務づけられているため(強制保険)、交通事故被害者は、加害者の加入する自賠責保険会社に対して、被害者請求手続により一定の賠償金を取得することが可能です。

但し、被害者請求は、交通事故による人身損害についてのみ請求可能で、物損(破損車両の修理代等)は対象外となります。また、上限額が定められており、傷害のみ(後遺障害なし)の場合、120万円が限度額となります。
このように、物損に適用がなく、また人身損害についても上限額が定められているため、自賠責保険は交通事故による損害全てをカバーするわけではありません。

しかし、自賠責保険の被害者請求手続は、他の手続に比べると簡易かつスピーディーであり、交通事故被害者への簡便な救済方法として有用です。また、同手続では、被害者の過失割合が7割未満の場合は減額されず、それ以上の場合でも減額割合が少ないなど、被害者に特に有利な制度もあります。
民事訴訟の前提として、自賠責保険への被害者請求を行い、まずは損害の一部回復を図った上で、訴え提起するのも有力な方法です。
当事務所では、自賠責保険への被害者請求手続の代理業務も積極的に行っております。

3 訴え(民事訴訟)提起

相手方任意保険会社との示談交渉が決裂した場合、その他何らかの事情により示談交渉による解決が難しい場合には、裁判所への訴え(民事訴訟)提起を検討することになります。
交通事故による損害賠償請求権は、消滅時効期間が(基本は事故時から3年と)短いため、早期に訴えを提起し、消滅時効を中断する必要があります。
特に後遺障害の等級認定を得られた場合には、安易に示談による解決を目指すのではなく、訴訟を提起することをお薦めします。任意保険会社からの示談提示額よりも、民事訴訟の提起により、最終的な取得金額が格段に上がるケースも少なくありません。

民事訴訟による損害賠償請求は、裁判所の期日が一般に1~2ヶ月に一度のため、どうしても時間がかかりますが、東京や横浜の裁判所では、交通専門部が設けられており、比較的スピーディーな審理がなされています。
交通事故被害に遭われた方で、訴え提起をお考えの方は、専門家である弁護士に相談されることをお薦めします。

4 後遺障害について

事故で人身傷害を受けられた場合には、まずは治療に専念して頂くことが肝要です。
相手方保険会社と早期に示談をしなければならない義務は全くありません。
そして、交通事故により重篤な怪我を負い、現代の医療ではこれ以上は治らない状態(これを「症状固定」といいます。)に至った段階でも、痛みや痺れなどの後遺症が残る場合があります。

その場合、まずは症状固定後に、主治医に「後遺障害診断書」という書類を作成してもらう必要があります。その上で、相手方保険会社に、後遺障害等級認定手続を申請するのが一般です(任意保険社と自賠責のどちらでも可能ですが、前者を「事前認定」といいます。)。
そして、等級認定を受けた後、その認定結果(症状によって1級~14級まであります。)に納得できれば、その等級を前提に各損害額を計算した上で、任意保険社と示談交渉するのが一般的です。他方、その認定結果が不当に低い、あるいは無等級の認定など不服があれば、次に異議申立や紛争処理申立等の不服申立手続を検討することになります。

いずれにしても、後遺障害についての損害賠償請求額を固める上で、後遺障害等級認定手続は不可欠であり、実務上は、この等級認定の結果次第で損害額がある程度決まる傾向があります。したがって、後遺障害等級認定手続が天王山となるケースも少なくありません。

当事務所では、これまでに1級(高次脳機能障害)の案件を含め、様々な等級・類型の後遺障害案件を多数取り扱ってきた実績があります。後遺障害でお悩みの方は、是非一度ご相談下さい。

5 交通事故による損害額について

⑴ 交通事故による損害は、大別して人身損害と物損に分けられ、一般的には人身損害の額の方が大きくなります。

⑵ 人身損害の代表的なものとして、
①治療関連費 ②休業損害 ③慰謝料 ④逸失利益が挙げられます。
このうち実務上特に問題となりやすいのは、③と④です。

⑶ 慰謝料について
交通事故により受けた精神的損害のことです。慰謝料をさらに分類すると、傷害慰謝料と後遺障害慰謝料に分けられます。

ア 傷害慰謝料について
精神的損害は本来主観的なものですが、これを客観化するため、実務では、原則として入院や通院の期間に応じて、傷害慰謝料の額が異なってきます。
つまり、入通院期間が長いほど、傷害慰謝料は上がるのが一般です。
他に、傷害の部位や内容によっても、慰謝料が異なる可能性があります。

イ 後遺障害慰謝料について
症状固定後に後遺障害が残った場合には、傷害慰謝料とは別途に、後遺障害に関する慰謝料を請求できます。この後遺障害慰謝料は、認定された後遺障害の等級によって金額が変わってきます。例えば、裁判基準では、最も重い1級では2800万円、最も軽い14級では110万円とされています。

⑷ 後遺障害逸失利益について
簡単に言うと、事故被害者の後遺症により、将来にわたり、事故がなければ得られたはずの収入と、実際の収入との差額です。休業損害に類似する概念ですが、将来の分である点で、休業損害とは異なります。
実務では、前記の症状固定時期を境に、それ以前が休業損害、それ以降が逸失利益と扱われています。
逸失利益は、事故前の基礎収入、後遺症による労働能力喪失率、後遺症による労働能力喪失期間の3点がポイントとなり、いずれも争点となり得ます。

⑸ 慰謝料や、後遺症逸失利益の算定については、専門的な内容を含みますので、治療が一段落された段階で、弁護士に相談されることをお薦めします。

6 過失割合について

交通事故で当初段階で特に揉めやすいのが、この過失割合です。
交通事故には様々な態様があり、過失割合は一義的ではないこともあり得ます。
その前提として、その交通事故がどのような事故態様であったのかを、警察の実況見分調書などから特定することが肝要です。
相手方任意保険会社の主張する過失割合に納得できない方は、早めに弁護士に相談されることをお薦めします。

  

7 死亡事故について

ご家族が死亡事故に遭われた場合、ご遺族にとって大変痛ましい出来事ですが、消滅時効の関係で、事故から一定期間内に、ご遺族が加害者に対して損害賠償責任を追及しなければなりません。

死亡事故の場合、前記の相手方任意保険会社との示談交渉もあり得ますが、それですと低水準に抑えられてしまうことが多いため、納得感を得るためには、訴え提起をお薦めしております。
例えば、交通事故で亡くなった方ご本人の慰謝料は、裁判基準は2000万円以上とされており、自賠責(350万円)や示談交渉の水準よりも格段に大きいため、その後のご遺族の生活保障という意味でも、裁判手続で適正な損害額を取得することが極めて重要です。

訴え提起後に、裁判所で和解が成立することも少なくありませんが、その内容は判決に準じたものとなるため、示談交渉段階での提示額よりも高額となることが一般的です。

8 弁護士費用特約と人身傷害保険について

これまで述べてきたとおり、交通事故被害に遭われた方が、適正・妥当な損害賠償額を取得するためには、弁護士のサポートが不可欠といえます。
そうしたときに、弁護士費用が気になるのは当然です。そこで、弁護士費用特約付きの任意保険に加入することをお勧めします。任意保険会社の弁護士費用特約では、一般的に、上限300万円までの弁護士費用を保険会社が負担してくれます。交通事故被害に遭われた方の権利保障のため、大変心強い制度といえるでしょう。

併せて、交通事故被害者側の過失割合部分についての損害も填補する、人身傷害保険にも加入しておかれるとよいでしょう。いざというときに、非常に役に立つことがあります。

弁護士紹介

→ ご挨拶

当事務所は平成17年10月に弁護士山﨑純一郎が中目黒の商店街に開設した、個人の顧客を中心としたアットホームな雰囲気の法律事務所です。


一般市民の方に親しまれやすい、敷居の高くない法律事務所を心掛けております。

また、当事務所の業務に対する基本的姿勢として、依頼者の方に納得していただけるような質の高い仕事を目指しております。


「大量且つ迅速に」ではなく、「適量を緻密に」という観点から事件処理に当たっております。そのため、いずれの事件に関しても、全て代表弁護士の当職が直接対応するのが原則となります。


代表弁護士山﨑 純一郎(やまざき じゅんいちろう)

所属団体

東京弁護士会

同会人権擁護委員会委員

全国倒産処理弁護士ネットワーク会員

目黒区法律相談担当員

(2020年現在)

著書(共著):「事例でみる債権管理・回収のチェックポイント」
(新日本法規)

経歴

1969年 神奈川県生まれ

1993年 東京大学法学部卒

1999年 司法試験合格(司法修習第54期)

2001年 東京弁護士会に弁護士登録

都内の法律事務所で4年間勤務弁護士として研鑽を積む。

2005年 エバーグリーン法律事務所を中目黒に開設

事務所概要

名称 エバーグリーン法律事務所
所属弁護士 山﨑 純一郎(やまざき じゅんいちろう)
所在地 〒153-0051 東京都目黒区上目黒2-15-6
電話番号 / FAX番号 03-5768-1850 / 03-5768-1851
対応時間 平日:10:00~18:00
定休日 土・日・祝 ※事前予約で土曜の時間外対応可能です。