相続に関する基礎知識や事例

相続に関する手順として、まずは相続人の調査から始めるのが基本です。相続人の範囲を調査し確定すると共に、法定相続分を確定します。

それと同時に、遺産の範囲や評価額を調査します。調査した相続財産のうち、積極財産(プラスの財産)が消極財産(債務等マイナスの財産)を上回っていればよいですが、仮に下回っていた場合には、相続放棄を検討する必要があります。
さらに、本人の遺言書の有無を確認します。遺言書がある場合(自筆証書遺言)には、その内容に従って遺産を分けることになります。

他方、遺言書がない場合には 遺産の分け方等について、相続人全員で協議して決めることになります。これを遺産分割協議といいます。その上で、分け方について全員が話し合って決めた内容を、遺産分割協議書という書面にしておく必要があります。

もっとも、遺産の分け方について、協議がまとまらない(あるいは協議できない)場合には、家庭裁判所に調停を申し立てるのがよい方法です。裁判所での冷静な話し合いにより、かつ調停委員会という中立な第三者が介入し、解決の手助けをすることによって、遺産の分け方について、合理的な解決の目処を立てることができます。

調停手続は、裁判所での紛争解決手続であり、その申立等には専門的知識が必要となりますので、専門家である弁護士に依頼することをお薦めします。
最終的に、調停手続内での解決がどうしても難しい場合には、遺産分割審判という手続に移行し、家庭裁判所が遺産の分け方等について判断するのが一般です。

1 相続人の調査について

相続が開始した場合に、相続人の範囲を調査し、その法定相続分等を確定することは、相続手続の第一歩です。
そのためには、被相続人の出生から死亡までの、すべての戸籍・除籍謄本類を取得して確認する必要があります。中には多数の謄本類を複数の役所から取り寄せなければならないケースもあり、また古い謄本類には読みにくいものもあります。兄弟姉妹の代襲相続の場合等では、法定相続人が多数となることもあります。こうしたケースでは、相続人の調査には非常に手間がかかります。

しかし、万一相続人に漏れがありますと、せっかく成立した遺産分割協議が後日無効となり、銀行で相続財産の払い戻しができなかったりと、様々なトラブルを招くことがあるため、相続人の範囲は特に慎重に調査する必要があります。
相続人の数が多かったり、代襲相続人(相続人たる子や兄弟が相続開始前に死亡していた場合の孫や甥・姪)がいるなどの複雑なケースでは、弁護士などの専門家に相続人の調査を依頼されることをお薦めします。当事務所では、相続人を調査して相続関係図を作成し、法定相続分を明らかにするほか、必要に応じて、法務局が相続人を証明する「法定相続情報」という書類取得のサポートにも対応しております。この書類により、相続登記や預貯金の払い戻し等、一般にその後の相続手続がスムーズに進められます。

2 相続財産の範囲や評価について

⑴ 相続財産には、大きく分けて、積極財産(プラスの財産)と、消極財産(マイナスの財産)があります。前者の典型は、預貯金や株式、不動産、宝石類などであり、後者の典型として、住宅ローンや借入金、未払債務などがあります。
他方、被相続人の一身専属的な権利(扶養料など)は、相続の対象となりません。
生命保険や死亡退職金のように、相続財産に当たるか否かが微妙なものもあります。また、こうした相続財産の調査の過程で、使途不明金や遺産収益などが判明することもあります。

こうした相続財産を相続開始後スピーディーに調査して、積極財産が消極財産を上回っていることを確認する必要がありますが、遺産不動産の評価額、特に共有物件や借地権など、その確認が容易ではないこともあります。

消極財産が積極財産を大幅に上回っている場合、相続開始を知ったときから3ヶ月以内に、家庭裁判所に「相続放棄」という手続を行う必要があります。それをしないと、相続人の方が多額の債務を承継することになってしまいます。

相続財産を調査し、その範囲や評価額を調査するには、専門的知識を要する場合が多く、また相続放棄などの家庭裁判所での手続が必要となることもあります。そこで相続開始後、こうした相続財産の調査段階から、早めに弁護士などの専門家に相談されることをお薦めします。

⑵ 相続財産と別個のものとして、祭祀(さいし)財産があります。具体的には、仏壇、位牌やお墓のことです。
祭祀承継財産の帰属は、第一次的には本人の指定、次に慣習、最後は家庭裁判所の審判によるなど、相続財産とは異なる解決方法が予定されています。

誰がそうした祭祀財産を承継するのかについても、相続人間で揉めることがあります。お悩みの方は、弁護士に相談されることをお勧めします。

 

3 遺産分割協議とは

⑴ 相続人の範囲が確定し、遺産の調査も終了した段階で、本人の遺言書がない場合には、遺産の分け方について、相続人全員で協議して決めることになります。これを遺産分割協議といいます。
この場合、各人の法定相続分が一応の目安となりますが、遺産の種類や本人との生前の関係性なども様々ですので、全相続人が納得するのであれば、遺産を自由に分けることが可能です。その上で、分け方について全員が協議して決まった内容を、遺産分割協議書という書面にしておく必要があります。
実務上この遺産分割協議書は重要な書面であり、これがないと、その後の不動産の相続登記手続や相続預貯金等の払い戻しなどに支障を伴います。

遺産分割には、現物分割、代償分割、共有分割など様々な方法があり、協議書の作成は複雑な内容を含むこともありますので、弁護士などの専門家に原案作成を依頼することも有力です。

⑵ なお、相続人の中に、未成年者や意思能力の低下した方がいる場合には、慎重な検討・対応を要します。そのまま遺産分割協議を成立させると、後日トラブルとなることがあります。そうしたケースでは、後見人や特別代理人など、特別な選任手続が必要となることがありますので、弁護士に相談されることをお薦めします。

⑶ 他方、被相続人が遺言書を残している場合には、それが公正証書か自筆証書かにより手続が異なってきます。本人の自筆による遺言書がある場合には、家庭裁判所で検認という手続を行う必要があります(公正証書の場合には、特に必要ありません。)。
その上で、遺言書の内容に沿って、預貯金を分けたり、相続登記をすることになりますが、遺言書に遺言執行者が指定されているときは、その者がそうした業務を行うのが通常ですので、注意が必要です。

4 遺産分割調停・審判とは

⑴ 遺産の分け方について、すんなり協議がまとまればよいですが、そうなるとは限りません。相続人同士で話し合いがまとまらない場合や、話し合いすらできないような場合には、家庭裁判所に調停を申し立てるのがよい方法です。裁判所での冷静な話し合いにより、かつ調停委員会という中立な第三者が介入し、紛争解決の手助けをすることによって、遺産の分け方について、合理的な解決の目処を立てることができます。また、調停の中で遺産に関する様々な情報が得られることもあります。

調停手続は、裁判所での紛争解決手続であり、その申立も、手続自体も専門的知識が必要となりますので、専門家である弁護士に依頼することをお勧めします。

⑵ 最終的に、調停手続内での解決がどうしても難しい場合には、遺産分割審判という手続に移行します。この審判手続は、家事審判官の審理のもとで、裁判に近い形で進められる手続であり、家庭裁判所が遺産の分け方等について判断するのが通常です。

5 遺言書の作成

相続開始前の段階で、後日の相続紛争を予防するため、また相続に本人の意向を反映させるため、遺言書を作成しておくのも有益です。
遺言書には、一般には、本人の自筆による自筆証書遺言と、公証人役場で公証人が本人の意思に沿って作成する公正証書遺言の2種類があります(他の特殊な方式も幾つかあります。)。

自筆証書遺言は、法律上、全文、日付、氏名の自署や押印等の厳しい要式が要求されており、それらが整っていないと後日無効となるおそれがあります(但し、平成30年改正相続法により、相続財産目録については、自書の要件が緩和されました。)。また、紛失や偽造・変造のおそれもあり、さらに相続開始後に家庭裁判所で「遺言書の検認」というやや面倒な手続を行う必要もあります。

そこで、自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言の作成をお薦めしています。公正証書による遺言は、公証人役場で作る際の一定の手間はありますが、公証人が作成するため、後日無効となる可能性は非常に低く、また公証人役場に原本が保管されるため、紛失や変造等のおそれもありません。裁判所での検認申立の手間もかからないので、こちらの方が実質は手間が少ないともいえます。

当事務所では、公正証書遺言の原案作成や、公証人役場との調整等、公正証書遺言の作成を積極的にサポートしております。将来の相続紛争を予防するため、遺言書の作成をお考えの方は、是非お早めにご相談下さい。

6 遺留分の請求

⑴ 遺留分とは
遺留分とは、民法が一定範囲の相続人(配偶者、子及びその代襲相続人、直系尊属)に最低限確保した、相続財産中の一定割合のことです。
具体的には、配偶者、子及びその代襲相続人は、法定相続分の2分の1が遺留分です。
例えば法定相続人が子3名の場合、6分の1(1/3×1/2)が遺留分となります。
なお、相続人が兄弟姉妹の場合、この権利は認められていません。

⑵ 遺留分の請求は一般に、遺言書のある場合、すなわち遺贈や相続させる旨の遺言に対して、遺留分権利者が、請求の意思表示をする形で行われます。なお、生前贈与や死因贈与に対して行われることもあります。
相続開始を知ったときから1年以内に行使しなければならず、権利行使期間が短い点に特色があります。

⑶ 遺留分の権利行使方法としては、内容証明郵便を出して交渉から始めることが一般ですが、交渉での解決が難しい場合には、調停や裁判での解決を目指すことになります。
遺留分の請求は、遺産分割とは異なり、調停後の審判手続が予定されていないこと等から、裁判になることが相対的に多い紛争類型といえます。

遺留分に関する紛争は、比較的裁判に発展しやすく、その権利行使期間も短く、またその侵害額の計算も複雑となることが多いため、遺留分に関してお悩みの方は、当初から弁護士に相談されることをお薦めします。

⑷ なお、遺留分権利者の請求は、従来は「遺留分減殺請求」とされ、権利行使後の権利関係は、例えば遺産不動産について共有関係になるなど複雑でした。しかし、平成30年の改正相続法において、令和元年7月1日以降の相続については、遺留分権利者が遺留分侵害額を金銭で請求することになりました(改正民法第1046条等)。これにより、遺留分を侵害された相続人は、金銭請求という方法で、より遺留分の権利を行使しやすくなることが期待できます。

弁護士紹介

→ ご挨拶

当事務所は平成17年10月に弁護士山﨑純一郎が中目黒の商店街に開設した、個人の顧客を中心としたアットホームな雰囲気の法律事務所です。


一般市民の方に親しまれやすい、敷居の高くない法律事務所を心掛けております。

また、当事務所の業務に対する基本的姿勢として、依頼者の方に納得していただけるような質の高い仕事を目指しております。


「大量且つ迅速に」ではなく、「適量を緻密に」という観点から事件処理に当たっております。そのため、いずれの事件に関しても、全て代表弁護士の当職が直接対応するのが原則となります。


代表弁護士山﨑 純一郎(やまざき じゅんいちろう)

所属団体

東京弁護士会

同会人権擁護委員会委員

全国倒産処理弁護士ネットワーク会員

目黒区法律相談担当員

(2020年現在)

著書(共著):「事例でみる債権管理・回収のチェックポイント」
(新日本法規)

経歴

1969年 神奈川県生まれ

1993年 東京大学法学部卒

1999年 司法試験合格(司法修習第54期)

2001年 東京弁護士会に弁護士登録

都内の法律事務所で4年間勤務弁護士として研鑽を積む。

2005年 エバーグリーン法律事務所を中目黒に開設

事務所概要

名称 エバーグリーン法律事務所
所属弁護士 山﨑 純一郎(やまざき じゅんいちろう)
所在地 〒153-0051 東京都目黒区上目黒2-15-6
電話番号 / FAX番号 03-5768-1850 / 03-5768-1851
対応時間 平日:10:00~18:00
定休日 土・日・祝 ※事前予約で土曜の時間外対応可能です。